「人は見た目が9割」という本をご存知でしょうか。著者は竹内一郎氏で、2005年に新潮新書から出版されています。100万部を超えたベストセラー本です。
見た目は大事です。もちろん営業マン自身の見た目も大事ですが、お部屋探しをされているあなたの見た目も審査の対象になります。
↓下記の記事も「見た目」について書かれてますのでご参考下さい ↓
- 言動
⇒横柄な態度をとる人にサービスしようとは思わないね。 - メールの文面
⇒誤字脱字は意外と気になる。あなたの人柄は文面から滲み出てます。 - 字の汚さ
⇒字が汚すぎて保証会社の審査が通らないことがあるらしいぞ。 - 車
⇒車も結構、人となりが分かりますね。 - 同伴者
⇒同伴者が強烈だと入居後がちょっと心配になる。 - 同居人
⇒契約者だけじゃなく、同居人も完全に審査の対象だ。 - 仕事
⇒無職はかなりハードル高い。個人事業主や自営業も厳しめ。 - 親
⇒親は余計な口を出すんじゃない!誰が住む部屋を探してんの? - その他
⇒希望条件や入居理由、年齢、身内の有無も審査の対象になるぞ!
審査には段階がある。
一口に「審査」と言っても、実は段階があります。
- 営業マン
- 保証会社
- 管理会社
- 大家さん
多い時にはこの4段階で、皆さんが入居出来るかどうかの審査をしていくんですね。
>営業マンの審査。
まずは営業マンから。当然、お客様と一番接点を持ちますので、誰よりも情報を持っています。審査ポイントの項目をチェックし、問題なしと判断すれば、保証会社の審査に移行します。
ただ営業マンは、大前提として売り上げを作らなければならないため、基本的に審査は甘めです。特に自分の売上しか考えていない人の審査は、合ってないようなものです。
平気で契約者の年収を底上げさせるし(年収は自己申告)、審査ポイントの項目に多くひっかかるような人でも、知らんぷりで入居させます。管理会社や大家さんの気苦労なんて知ったこっちゃない。
残念ながら、そういう人の方が売上が高いのも事実です。長持ちはしないかもしれませんがね。
私はそういう面の皮が厚い営業マンにはなれないんですねぇ。
>保証会社の審査。
次に保証会社が審査をしますが、保証会社は基本的に書面上・データ上でしか審査が出来ません。上記の審査ポイントの中でも、言動がどうとか、同伴者がどうとかは一切分からない中で審査をしていくんですね。
ぶっちゃけ嘘を書こうと思ったら書けます。
書面上に書いてある勤務先や年収、あとは過去に滞納や自己破産した履歴がないかを確認し、問題なければ「承認」の連絡が来ます。でも実際、保証会社が何をどう審査しているかは全て謎です。
ちなみに営業マンと保証会社はほとんど接点がありません。たまに確認の電話があるだけで、営業マンとしては特に愛着があるわけでもないので、
この人は絶対滞納しそうだけど、審査通しちゃって大丈夫かな?
という心配は全くしません。
もし家賃を払わなくても保証会社が払うから別にいっか(笑)
くらいの感覚です。
>管理会社の審査。
保証会社の審査が通れば次は管理会社の審査です。保証会社と違い、管理会社の担当とはよくやりとりをしますし、「持ちつ持たれつ」の関係です。なのでもっと具体的な入居理由を聞かれることもあります。場合によっては、営業マンからあえてマイナス情報を伝えることもあります!(今回はそのケースですね)
↓「入居理由」について書かれてますのでご参考下さい ↓
>大家さんの審査。
管理会社の審査が通れば、最終的に大家さんが決めます。とは言っても、大家さんは管理会社に全てを一任していることも多く、管理会社がOKを出せば、大家さんもOKということがほとんどです。
管理会社さん、お宅らに全部まかせるわ。でも何かあったらちゃんと対応してよ。
という感じ。
でもたまにあるのが、
- 外国人は絶対にNG
- 〇〇の国の人はNG
- 肌の色によってはNG
- 日本語が話せなければNG
- 永住権じゃなければNG
といった、外国籍の方に対して差別に近い偏見を持っている大家さんもいます。
グローバルな時代ですぜ?
とは思っても、やっぱり貸す側が強いんですよねぇ。大家さんがダメだと言えばダメなんです。
他にも、
- 改造車に乗っている
- 刺青・タトゥーが入っている
- 生活保護を受けている
- 仕事をしていない
- 〇〇才以上の高齢者
それらの理由でNGになることもあるため、ちょっと大丈夫かな?という時には大家さんに相談します。
- 大家さんちの敷地内に物件が建っている
- その物件に大家さんが住んでいる
という場合は審査も厳しくなります。管理会社は、大家さんにリスクがあるようなことは当然しません。
されそれらの審査を経て、何も問題がなければ晴れて契約に進んでいきます。
同居人に難あり。
今回、Bさんという女性からメールで問い合わせがあったのがきっかけでした。問い合わせがあった物件は、いわゆる管理物件で売上単価の高い物件でした。
私としてはぜひ決めたい物件ですね!!
メールでの熱烈なアプローチが功を奏したのか、Bさんからお電話を頂けました。
今から見たいんですけど、見れますか?
(キターー!)
もちろんです。今から?大丈夫ですよ。ご来店されますか?現地集合にしますか?
今もうお店の近くにいるので、とりあえず行きます。
ありがとうございます。ご来店お待ちしております。
他に候補になりそうな物件もなさそうだし、このままこの物件一本で押してやるぜ!!なんて考えていたんですが…。
…
あれ?だしのりさん?
えっとー…(ん?あんた誰?)
あーだいぶ前だからな。昔あんたに部屋を紹介してもらったよ。Nだよ。
……え!
あー、あのNさん??
そう、私は記憶力は良いほうで、すぐに思い出すことが出来ました。
あの忌まわしき記憶を…。
当時、賃貸はほとんどやらない地元の工務店が管理している物件を決めたことがある(それが最初で最後となったが)。
大手の大東や大和、積水、東建などは、会社毎にルールがあり、何度も決めているのでこちらも勝手が分かっているのだ。慣れてこればミスをすることもあまりない。
が、個人の大家さんが管理されている物件だったり、物件の数が全然ない管理会社の場合は、結構な注意をしなければならない。
予想外のルールに直面するからだ。
- 退去予告が2か月前。
⇒私のいる地域では1ヶ月前が一般的。 - 短期違約金が高い。
⇒1年未満解約/家賃3ヶ月分、1~2年未満解約/家賃2ヶ月分。
⇒私のいる地域では、そもそも違約金がないか、半年未満解約/家賃1ヶ月分。 - 提出書類が多い。
⇒免許証、保険証、住民票、給与明細、所得証明、車検証。 - 室内がどんな状態であれ現状渡し。
⇒誰がどう見ても汚いけどキレイだと言い張る。 - 初期費用は現金受領のみ。
⇒現金が一番安心らしい。 - 毎月の家賃の支払いは振り込みのみ。
⇒これは結構あるかな。引き落としの仕組みがないと振り込みになる。 - 契約の手続きを大家さんの家でしなければならない。
⇒普通は仲介する会社・店でやるからね。 - 連帯保証人も必須。
⇒新婚の場合はそれぞれの親が連帯保証人にならないといけないこともある。
⇒保証会社を使いなさい。もしくは使わせなさいや。 - 町内会の役員もやらなければならない。
⇒賃貸の場合は勘弁してほしいよね。
この予想外ルールが1つあるせいで、その物件を断られることもあります。
Nさんの時は、「室内がどんな状態であれ現状渡し」だった。だいぶ前にクリーニングが終わり、空室期間が長かったため、我々営業マンから見れば明らかに キレイとは言えない 状態でした。
これって本当にクリーニング後なの?入居前にはキレイなるんだよね?
…念のため確認しますね。
管理会社(工務店)に確認の電話を。
あーどうもお世話になります。
今、物件をご案内させて頂いておりまして。ちょっと空室が長かったですかね?ええ、ちょっと埃もたまってて。もしお申込み頂けたら簡易的にでも掃除はしてくれますか?
ああ分かったよ。掃除しておくよ。
ありがとうございます!
掃除をして頂けるんですね。じゃあお申込み頂けるよう頑張りますね。
その場で確認し、掃除もして頂けると。Nさんはそのまま申し込みとなり、申込書を送るのとあわせてFAXの文面に掃除のことを書いたし、その後も電話で再度伝えました。入居まで2週間くらいあったから、まぁちゃんとやって頂けるだろうと高を括ってしまった…。
契約も終わり、入居日当日。鍵渡しが終わって程なくしたら1本の電話が…。
(鍵渡し直後の電話は基本的に良くない内容のことが多い!)
おいっ!
これどうなってんだ?掃除終わってねーぞ!
(終わった!!)
…ちょっと申し訳ありません。一度確認します。
…
あーあの部屋ね、確認したけど別にキレイだったから何もやってないよ。全然気にならなかったし。あそう、怒ってんの?まぁ謝っといてよ。
(おいてめぇ!!!ふざけんなよバカヤロー!!!!!)
ぐ…いやいや、ちょっともうにそれで済みそうにもありませんよ!一緒に謝罪に行ってもらうかもしれませんのでね。
あ、そんな感じ?
とりあえず電話で謝っといて。どうしようもなかったら行くから。
…
(絶対無理だ…)
というわけで本当にすみません。どうやら掃除してなかったそうで…。
…いやいや、あんたは悪くないよ。
でもそいつちょっと連れてきてもらえんかね?(怒)
(ほらね)
分かりました。今日の夜、お邪魔します。
いやーしまった…。
入居前に確認しておけばよかった。悪くないとは言ってくれたけど、ちょっとプロとしては完全なミスだな。仲介してお金を頂いているんだからね。
本来なら…
- 入居の2~3日前に確認する。
- もし掃除されていないんだったら掃除してもらえるように交渉する。
- それでも掃除しないんだったらそれをNさんに伝えて、「そういう管理会社だけどこのまま入居するかどうか」を確認する。
- 手続きも進めてしまっているし、もう入居するしかない状況であれば最低限の掃除はこちらでするしかない。
そこまで出来ていれば、仲介者としての役割は果たせたと思います。そこを怠ってしまったなぁ。
管理会社のオッサンと一緒に、Nさんのところへ謝罪訪問。
いやー申し訳ないね。キレイだと思ったんだけどね。
粗品のタオルをすっと…その瞬間!
ドッコーン!!!!
Nさんの足元にあった段ボールが吹っ飛ぶ。
なんだてめぇその言い方は!!
(おおヤバイ!オッサンが死ぬ!!!)
Nさん、暴力はダメっす。
…
何とか暴力沙汰にはならず、撤収。
いやまいったね。何あの人あっち系の人なの?それが分かってたら入居断ってのに。
まぁちょっとアカンわ。退去してもらおう。
(ったくこのオッサンは…)
いやいや、今となっちゃ申し訳ないとは思いますけど…あっち系の人かどうかなんて分かりませんし、服着てて全然気が付かなかったですよ。
それに入居した以上は簡単に退去してもらえんでしょう。
そう、Nさんにはたくさんのタトゥーが…。お洒落っていうレベルじゃないタトゥーがね。オッサンはそれを見て余計そう思ったわけです。
これは本当に気がつかなかったなー…とっぽい感じはしたけど、別に普通だったし。冬で服を着こんでて分からなかったけど、室内で半袖だとあら素敵。ちょっと怖い。
オッサンがひくのは分かるけど、でも退去させるのは難儀ですよ。結局、入居してから接点を持つことはなく私には平和が訪れましたが、話を聞く限り、あれから色んなことがあったそうな…。
両腕にとんでもない数の傷が…。
今回、契約者となるのはNさんではなくBさん。
仕事は派遣社員で、転職したばかりです。
彼じゃなくて私が契約者になろうと思ってます。
俺はたぶん審査が通らない。
あ…(察し)
過去の記憶から、Nさんの暴れっぷりは知ってますからね。まぁ納得しちゃいます。
んが!
Bさんはハードモード具合がパッと見で分かります。
それは…手首から肩にかけておびただしい数の傷が散見されます。しかも両腕に。十中八九、故意と思われる傷。
これは営業マンの皆さんに聞きたい。
そういうセンシティブな内容の時、皆さんはその事柄に対して触れますか?
私の場合は、話している感じでその人の性格を判断し、触れても問題なさそうであれば聞いちゃいますが、そうでなければ伏せておきます。まぁ皆さんそうですよね。
辛い過去があったのだろうか?
でも隠そうとしないからもう克服したのか?
気にしているわけではなさそうでしたが、どこか儚げでその時は触れられませんでした。自傷行為をしてしまう方の心理は分かりませんが、そういう方がお部屋探しをされる時、営業マンとして思うことがあります。
事故物件になってしまうかもしれない…。
偏見だということは重々承知です。そのことに触れもせず、見た目だけで判断するのは間違っている可能性も十二分にあります。
ただNさんの時もそうでしたが、何かあった時に退去してもらうのは本当に大変。
例え正当な理由があったとしても、時間もお金もかかります。
もし自傷行為が再発したら…
- ヒステリックな叫び声が聞こえてくるかも?
- よく喧嘩するんじゃないか?
- パトカーや救急車がよく来るのかな?
- そういう物件のイメージはよくないよな?
- もし人知れず息絶えてしまったら?
事故物件にはならずとも、入居後の良いイメージをまったく持てないのが、そういう傷を持った方です。
見た目ってホント大事。
Nさんのタトゥーにしろ、Bさんの傷にしろ、見えなければ分からない。
見えたものが強烈であればあるほど、あなたに対する印象はマイナスに引っ張られます。彼らの印象は既にマイナスに振り切ってます。
見た目って本当に大事ですね。
本来なら入居してもらいたい管理物件。
でも超悩む…。
果たして私はどのように対応したのか、彼らの審査は無事通ったのかは次の記事で書きたいと思います。
↓近日中には書けると思います↓
ではまた。
見た目だけではなく、様々な視点からあなたを観察・審査をしています。